「黒ナンバーの税金って、結局いくらかかるの?」
「軽貨物の車検は1年ごと?2年ごと?」
「13年落ちだと税金が上がるって聞いたけど、買い替えたほうがいい?」
軽貨物で開業すると、売上よりも先に気になるのが「車を持ち続けるコスト」です。ところが調べてみると、サイトによって書いてあることがバラバラで余計に混乱します。
実際、この記事を書くにあたって上位サイトを10件ほど確認しましたが、「車検が1年ごと」と書いているサイトと「2年ごと」と書いているサイトが混在していました。自賠責保険についても「軽貨物は高い」と書いてあるサイトが複数ありましたが、これも正確ではありません。
この記事では、公的機関の情報をもとに正確な数字を整理したうえで、100名を超える軽貨物ドライバーを見てきた元現場管理者の視点で「実際にいくら残るのか」までお伝えします。
- 黒ナンバーの年間維持費の総額(実額シミュレーション)
- 自動車税・重量税・自賠責の正確な金額
- 軽貨物の車検は1年か2年か(誤情報が多い論点)
- 車検費用の内訳と、安く抑える現実的な方法
- 13年・18年の重課は、買い替えるほどの金額なのか
- 経費として落とせるもの・落とせないもの
- 2026年11月の自賠責値上げと、車検時期による損得
黒ナンバーの年間維持費は約60万円【内訳を実額で】
まず全体像です。週5日稼働・月2,500km走行のモデルケースで試算します。
| 項目 | 年間の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 軽自動車税(種別割) | 3,800円 | 毎年5月に納付 |
| 自動車重量税 | 2,600円 | 車検時に2年分5,200円 |
| 自賠責保険 | 約8,770円 | 車検時に24か月分17,540円 ※2026年11月から値上げ(後述) |
| 車検整備・代行費用 | 約25,000円 | 2年で5万円想定 |
| 任意保険(事業用) | 約150,000円 | 最大の固定費 |
| ガソリン代 | 約240,000円 | 月2万円想定 |
| オイル・タイヤ等 | 約60,000円 | 走行距離が長いため頻度高め |
| 駐車場代 | 約120,000円 | 地域差大きい |
| 合計 | 約61万円 | 月あたり約5.1万円 |
ここで注目してほしいのは、税金の合計が年間6,400円しかないことです。維持費全体の1%程度にすぎません。
軽貨物の税金は3種類だけ
① 軽自動車税(種別割)|黒ナンバーは自家用の約3分の1
毎年4月1日時点の所有者に課される税金で、5月頃に納付書が届きます。
| 区分 | 年額 |
|---|---|
| 自家用軽乗用(黄色ナンバー) | 10,800円 |
| 自家用軽貨物(黄色・4ナンバー) | 5,000円 |
| 事業用軽貨物(黒ナンバー) | 3,800円 |
黒ナンバーにすると、自家用軽乗用より年間7,000円安くなります。「黒ナンバーは事業用だから高い」と誤解されがちですが、実際は逆です。
② 自動車重量税|これも自家用より安い
車検のタイミングで、次回車検までの分をまとめて納めます。軽自動車検査協会が公表している金額は以下のとおりです。
| 経過年数 | 事業用(黒ナンバー)2年分 | 自家用 2年分 |
|---|---|---|
| 13年未満 | 5,200円 | 6,600円 |
| 13年経過 | 5,400円 | 8,200円 |
| 18年経過 | 5,600円 | 8,800円 |
こちらも事業用のほうが安く設定されています。エコカー減税の対象車であればさらに軽減されます。
③ 自賠責保険|「軽貨物は高い」は誤りです
ここが最も誤情報の多い項目です。
複数のサイトで「軽貨物の自賠責は自家用より高い」「25か月で27,090円」といった記述を見かけますが、これは「営業用の小型貨物車(軽自動車以外の4ナンバー)」の料金と混同したものです。
損害保険会社が公表している自賠責保険の車種区分では、軽自動車(検査対象)の区分に営業用の黒ナンバーも含まれると明記されています。
結論:黒ナンバーの自賠責保険料は、黄色ナンバーの軽自動車とまったく同額です。
24か月で17,540円(2026年10月31日までに保険期間が始まる契約の場合)。ナンバーの色で保険料が変わることはありません。
「軽貨物にすると自賠責が跳ね上がる」と心配して開業をためらう方がいますが、その必要はありません。※自賠責保険料は改定されることがあるため、契約時に最新額をご確認ください。
【重要】軽貨物の車検は「2年ごと」です
ここも情報が錯綜している論点です。調査した限り、「黒ナンバーは1年車検」と書いているサイトが複数ありました。これは誤りです。
なぜ「1年車検」という誤解が生まれるのか
原因は「4ナンバー」という括りにあります。
| 車両区分 | 初回車検 | 2回目以降 |
|---|---|---|
| 小型貨物(登録車の4ナンバー) 例:プロボックス、ADバン | 2年 | 1年ごと |
| 軽貨物(黒・黄の4ナンバー) 例:ハイゼット、エブリイ、N-VAN | 2年 | 2年ごと |
| 自家用軽乗用(5ナンバー) | 3年 | 2年ごと |
同じ「4ナンバー」でも、軽自動車かどうかで車検サイクルが変わります。登録車の4ナンバーは毎年車検ですが、軽自動車の貨物は2年ごとです。
なお、2年車検になるのは「事業用だから」ではなく「貨物車(4ナンバー)だから」です。黄色ナンバーの自家用軽貨物も同じく2年サイクルになります。ナンバーの色は関係ありません。
この違いを説明せずに「4ナンバーは1年車検」とだけ書いてある記事を読むと、軽貨物も毎年だと勘違いしてしまいます。
車検費用の内訳と相場
車検費用は「法定費用」と「業者に払う費用」に分かれます。法定費用はどこで受けても同額です。
法定費用は約25,200円(2年分)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 自動車重量税(2年分) | 5,200円 |
| 自賠責保険(24か月) | 17,540円 |
| 検査手数料(印紙代) | 2,500円 |
| 合計 | 約25,240円 |
※検査手数料は令和8年4月1日に改定され、軽自動車の継続検査(窓口持込)は2,200円から2,500円になりました。指定整備工場経由の場合はこれより安くなります。
【2026年11月】自賠責保険が13年ぶりに値上げされます
これから車検を受ける方は必ず知っておいてください。2026年11月1日以降に保険期間が始まる契約から、自賠責保険料が引き上げられます。
損害保険料率算出機構が2026年4月の自賠責保険審議会を踏まえて届け出たもので、全車種平均6.2%の引き上げ。軽自動車の24か月契約は1,120円の値上げとなります。約13年ぶりの改定です。
| 軽自動車(24か月) | 保険料 |
|---|---|
| 2026年10月31日まで | 17,540円 |
| 2026年11月1日以降 | 約18,660円(+1,120円) |
値上げの背景は、2023年度の引き下げ時に充当していた滞留資金が保険金支払いで減ってきたことと、近年の物価・賃金上昇です。
依頼先による総額の違い
| 依頼先 | 総額の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ユーザー車検 | 約25,000〜30,000円 | 最安。ただし平日に陸運局へ行く必要あり |
| 車検専門店・カー用品店 | 約40,000〜60,000円 | コストと手間のバランスが良い |
| ディーラー | 約60,000〜90,000円 | 整備は手厚いが割高 |
ユーザー車検は確かに安いのですが、軽貨物ドライバーにはあまりおすすめしません。
理由は単純で、平日1日を潰すと売上が2万円前後飛ぶからです。1万5,000円節約するために2万円分の稼働を捨てるのは合理的ではありません。不合格になれば再検査でもう1日かかります。稼働日を減らさずに済む専門店に出すほうが、トータルでは得になるケースが大半です。
軽貨物特有の車検不合格ポイント
- タイヤの規格違い:貨物車は荷重に耐えるLT規格(バン用)が必要。乗用車用タイヤを履いていると通らないことがある
- 最大積載量の表示なし:貨物車は荷室後部などへの表示が必要
- 荷物を積んだまま受検:ブレーキ測定に影響するため、荷室は空にしておく
- タイヤの溝不足:走行距離が長いため、乗用車より摩耗が早い
特にタイヤは要注意です。安さにつられて乗用車用タイヤを履かせているドライバーを何人も見てきましたが、車検で引っかかるだけでなく、荷物を積んだ状態での高速走行はバースト(破裂)のリスクがあります。ここは節約する場所ではありません。
【独自解説】13年・18年の重課で買い替えるべきか
「13年落ちになると税金が上がる」という話をよく聞きます。実際に上がるのは事実ですが、軽貨物の場合、その金額を見て判断すべきです。
| 経過年数 | 軽自動車税(年) | 重量税(年換算) | 合計(年) |
|---|---|---|---|
| 13年未満(H27年4月以降登録) | 3,800円 | 2,600円 | 6,400円 |
| 13年未満(H27年3月以前登録) | 3,000円 | 2,600円 | 5,600円 |
| 13年経過 | 4,500円 | 2,700円 | 7,200円 |
| 18年経過 | 4,500円 | 2,800円 | 7,300円 |
13年経過による増額は、年間1,600円程度です。
2026年時点で13年を超える車は平成27年3月以前の登録なので、旧税率3,000円からのスタートになります。そこから4,500円へ上がるため増額は年1,500円、重量税の増加分を足しても年1,600円ほどです。普通車では数万円単位で上がりますが、軽貨物はもともとの税額が低いため影響も限定的です。
つまり、「税金が上がるから買い替える」という判断は、軽貨物では成立しません。年1,600円のために数十万円を使うのは本末転倒です。
では、いつ買い替えるべきか
判断材料は税金ではなく、「修理費と稼働停止リスク」です。
- 年間の修理・整備費が10万円を超えてきた
- 走行距離が15万kmを超え、大物部品(ミッション・エンジン)の交換が視野に入ってきた
- 故障で1日でも稼働が止まると、収入が直撃する
現場で見てきた限り、軽貨物で最も痛いのは「故障による突然の稼働停止」です。修理待ちの3日間で6万円の売上が消えるなら、月々のリース料を払って車検・メンテナンス込みにしたほうが、収支は安定します。
車両の調達方法を比較検討したい方は、以下の記事にまとめています。

維持費を本気で下げるなら、税金ではなく保険を見直す
冒頭の試算を思い出してください。年間維持費61万円のうち、税金は6,400円、任意保険は15万円でした。
削減効果で見れば、どちらに手をつけるべきかは明らかです。
黒ナンバーの任意保険は取り扱い会社が限られており、同じ補償内容でも会社によって年間数万円の差が出ます。1社だけで決めてしまうのが最も損をするパターンです。
また、これから黒ナンバーを取得する方は「自家用車の等級を引き継げる」ことを知っておいてください。手続きの順番を間違えると新規6等級からのスタートになり、初年度で10万円以上損をすることがあります。詳しくは以下の記事で解説しています。

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最短3分の入力で複数社の見積もりが届きます
ガソリン代の削減については、こちらにまとめています。

税金・車検費用は全額が経費になります
個人事業主として開業している以上、車両にかかる費用は経費に計上できます。忘れやすいものを整理しておきます。
| 項目 | 勘定科目 |
|---|---|
| 軽自動車税・重量税 | 租税公課 |
| 自賠責保険・任意保険 | 保険料 |
| 車検整備費・修理代 | 修繕費または車両費 |
| ガソリン代・高速代 | 旅費交通費または燃料費 |
| タイヤ・オイル交換 | 消耗品費または車両費 |
| 駐車場代 | 地代家賃 |
プライベートでも同じ車を使っている場合は、家事按分が必要です。「事業8割・私用2割」といった割合を決めて、その分だけを経費にします。走行距離や稼働日数など、説明できる根拠をもとに設定してください。
これらを手作業で仕訳するのは大変なので、会計ソフトの利用をおすすめします。銀行口座やカードを連携しておけば、ガソリンスタンドでの支払いも自動で取り込まれます。

よくある質問
- 軽貨物の車検は毎年ですか?
-
いいえ、2年ごとです。初回も2年、以降も2年ごとになります。毎年車検が必要なのは、軽自動車以外の小型貨物車(プロボックスなど登録車の4ナンバー)です。同じ「4ナンバー」でも扱いが異なるため混同にご注意ください。
- 黒ナンバーにすると自賠責保険は高くなりますか?
-
変わりません。自賠責保険の車種区分では、黒ナンバーの軽貨物も「軽自動車(検査対象)」に含まれ、黄色ナンバーと同額です。「高くなる」という情報は、軽自動車以外の営業用小型貨物車の料金と混同したものです。
- 軽貨物の税金は年間いくらですか?
-
軽自動車税3,800円と重量税の年換算2,600円で、合計6,400円程度です。自家用軽乗用車(軽自動車税10,800円)と比べても安く、維持費全体で見れば1%程度にすぎません。
- 13年落ちの軽バンは買い替えたほうがいいですか?
-
税金だけを理由にするなら不要です。13年経過による増額は年間1,600円程度にとどまります。判断すべきは修理費と故障リスクで、年間の整備費が10万円を超えたあたりが検討の目安になります。
- ユーザー車検で済ませても問題ありませんか?
-
制度上は問題ありませんが、稼働日を1日潰すことになります。売上2万円を捨てて1万5,000円節約する形になるため、多くのドライバーにとっては専門店に依頼するほうが合理的です。
- 自賠責保険はいつから値上げされますか?
-
2026年11月1日以降に保険期間が始まる契約からです。軽自動車の24か月契約で1,120円の値上げとなり、17,540円から約18,660円になります。約13年ぶりの引き上げです。
- 乗用車用のタイヤを履いていても車検は通りますか?
-
通らない場合があります。貨物車は積載時の荷重に耐える必要があるため、バン用(LT規格)のタイヤが求められます。安全面のリスクもあるので、ここは節約すべきではありません。
まとめ:削るべきは税金ではない
- 黒ナンバーの税金は年間6,400円程度。自家用軽乗用車より安い
- 車検は2年ごと(初回のみ自家用より1年早い)
- 自賠責は黄色ナンバーと同額。高くなるという情報は誤り
- 13年重課の影響は年1,600円程度。買い替え理由にはならない
- 維持費の大半は任意保険とガソリン代。削るならここ
- 2026年11月から自賠責が値上げ(軽自動車24か月で+1,120円)
軽貨物の維持費を調べていると「税金が高い」「車検が毎年で大変」といった情報に行き当たりますが、数字を並べてみると実態は違います。黒ナンバーはむしろ税制面で優遇されている区分です。
手取りを増やしたいなら、年間6,400円の税金ではなく、15万円の任意保険と24万円のガソリン代に目を向けてください。ここを見直すだけで、年間数万円は変わります。
🛡️ 任意保険は比較してから決める
同じ補償でも保険会社によって年間数万円の差が出ます
※本記事の税額・保険料は2026年8月時点の情報です。自賠責保険料は2026年11月1日に改定されるほか、検査手数料も2026年4月に改定されています。制度は毎年見直される可能性があるため、実際の手続き前に軽自動車検査協会・損害保険料率算出機構・総務省の公式情報をご確認ください。
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